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教会の誕生日
今日はペンテコステです。ペンテコステというのは、ギリシア語で「50番目」という意味です。イエス様が十字架で死なれ、三日目に復活された日から数えて50日目がペンテコステの日です。このペンテコステは、「聖霊降臨日」、つまり聖霊が降った日としても記念されますし、教会の誕生日とも呼ばれます。
イエス様は復活された後、40日にわたって弟子たちに現われ、ご自分が生きていることを示されました。そして天に上げられる時には、「あなたがたの上に聖霊が降る」と弟子たちに約束しておられました。
ペンテコステの日、弟子たちが一つに集まっていると、突然激しい風が吹く音が聞こえ、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上に留まりました。すると弟子たちは聖霊に満たされて、ほかの国々の言葉で話しだしました。この騒ぎを聞いて集まってきた人たちに向かって、弟子たちはイエス様のことを大声で語りました。
もし、聖霊が弟子たちに降っただけであれば、ペンテコステは教会の誕生日とはならなかったかもしれません。弟子たちが家の中に留まり、集まってきた人たちに何も語らなければ、教会の歴史は始まらなかったからです。イエス様が復活されてから初めて弟子たちがイエス様のことを公に語り始めたからこそ、ペンテコステは教会の誕生日なのです。
伝道へと召し出す聖霊
教会はイエス様のことを宣べ伝え、福音を語り伝えるからこそ、教会なのです。自分たちがイエス様のことを救い主だと信じていたとしても、宣べ伝えなければ、そこに教会はありません。伝道するからこそ、教会は教会であることができます。
ただ、どんなことが「伝道する」ことなのか、という理解には、それぞれの教会や教派の間で幅があります。例えば、伝道とは誰かがイエス・キリストによって個人的な悔い改めに導かれ、新しく生まれ変わることだと考える人もいれば、イエス様のように最も小さくされた人――抑圧された人――と連帯して生きることが伝道だと考える人もいます。きっとそのどちらも伝道と言えるでしょう。
言葉による伝道も、行動による伝道も、イエス様が示してくださったよい知らせ――福音――を語り伝え、分かち合うことは共通しています。どのような形であっても、福音が伝えられ、受け取られたならば、その人はイエス様の弟子となり、新しい人生を始めるのです。
聖霊は私たちの間に働き、私たちがイエス様の言葉を聞き、信頼するように導き、私たちを新しく生まれ変わらせます。そして私たちに、自分が受け取った福音を――その喜びと希望を――宣べ伝えるように召し出します。聖霊によって導かれ、あるいは押し出されて、私たちは時に言葉で、時には行動で、伝道するのです。
神様への信頼を生む律法
それでは、教会が宣べ伝える福音とは何でしょうか。伝道者パウロがローマの教会に送った手紙の中で語っていることから考えてみましょう。ここでパウロが丁寧に語っていることは、律法と福音の関係です。
律法とは、神様の教えと戒めであり、旧約聖書に書かれているものと、口で言い伝えられたものとがありました。イスラエルの人たちにとって、それは神様から授かった大切なものであり、自分たちが神様との関係をもち続けるためのものでもありました。
ただ、私たちは律法を受け継いではいません。旧約聖書の律法を読むことはできても、イスラエルの人々と同じように律法を受け取っているわけではありません。だからといって、パウロが語っている律法と福音との関係は、私たちと無関係ではありません。
イスラエルは律法を追い求めていましたが、しかしその目的に達することはできませんでした。それは努力が足りなかったとか、能力が足りなかった、ということではありません。律法の本来の目的を見失ってしまったことが、その原因でした。律法の目的とは、神様に対する信頼を生むことです。
神様はこの世を造り、私たちに命を与えてくださった方です。神様はすべての人を愛し、その命を守り育むことを望んでおられます。そしてすべての人が神様に信頼し、平安に生きることへと導いてくださいます。そのために、神様はイスラエルを特別に選び、彼ら・彼女らに律法を与え、ご自分との良い関係を作ろうとされました。
ところがイスラエルは、「つまずきの石」につまずきました。そのつまずきの石とは、イスラエルが「信仰によってではなく、行いによって」（ローマ9:32）律法の目的に達しようとしたことです。イスラエルは怠けていたわけではありません。もちろん、神様から離れることもしばしばありましたが、熱心に律法に従おうともしていました。
イスラエルの人たちは、神様に選ばれた者にふさわしい「素晴らしい人間」になろうとしたのです。その熱心さが悪いことだったのではありません。けれども、その熱心さの中で、イスラエルは神様に信頼することを忘れてしまいました。いや、忘れたわけではなかったのかもしれませんが、信頼することよりも、自分たちが何をするかということを優先させてしまったのです。
神様がイスラエルを選んだのは、イスラエルが熱心であったからではなく、優れていたからでもありません。むしろイスラエルはこの世では弱く、小さな存在でした。神様は、イスラエルが熱心であったときだけでなく、神様から離れそうになっているときも、関係を断つことはなさいませんでした。神様が私たちを選び、愛し、恵みを与えてくださる。それは私たちが善い人間だからではなく、神様が善いお方だからです。
私たちの行いを土台にした関係は、永遠に変わらないわけではありません。私たちは常に変わり続ける存在ですし、いつも・いつまでも熱心であり続けることはできません。私たちの行いによって、つながっていることができたり、断たれたりするような関係だけでは、安心することはできないでしょう。
でも、神様は決して変わることがありません。何が変わらないかというと、私たちに対する神様の愛です。時が流れ、人が変わっていっても、私たちに生命を与え、この世に作り出した神様の私たちに対する愛は、決して変わらないのです。律法の目的は、そのような神様に対する信頼を生むことだったのです。
「私を信頼しなさい」
「キリストは律法の目標である」とパウロは語ります（ローマ10:4。イエス・キリストは律法の目的を果たす方。つまり、イエス様が示されたのは、神様は私たちにとって信頼できるお方である、ということです。
神様は、あなたが善い行いをしたから、その行いに報いてくださるのではありません。あなたが熱心だから、そばにいてくださるのではありません。あなたが過ちを犯すときも、熱心さを失うときも、神様のことを忘れているときであっても、あなたのことを愛し、あなたの傍にいて、あなたの思いに心を向け、その声に耳を傾け、ありのままを受け止めてくださいます。
聖書では、様々な人が神様に自分の思いをぶつけています。時には怒り、時には嘆き、時には意気消沈し、時には喜びに溢れていますが、そのどれも神様は受け止めておられます。神様は私たちに対していつも誠実に向き合い、決して変わることなく私たちを受け止めてくださいます。
私たちの生きる世界には――あるいはそれぞれの人生には――耐え難い出来事が起こることがあります。とても受け入れられない事が起こったり、思わず目をそむけてしまうことがあったり、立ち上がる気力を奪われたりします。
一方で人間には、それらのことが自分の行い次第だと考えようとするところもあります。それは私たちの行いが全てである、と思いこむように教えられてきたからかもしれません。自分が良い子であれば親や先生に認められ、受け入れられるとか、成果を出し続ければ社会での居場所を確保できる、というように。神様との関係も、その延長線上で捉えてしまいがちなのは、イスラエルの人たちだけではないでしょう。
イエス様が教えてくださったのは、神様はあなたの近くいる、ということです。
「御言葉はあなたの近くにあり、あなたの口、あなたの心にある。」（ローマ10:8）
神様がどれほど近くにいるか、ということをイエス様は教えてくださったのです。律法も含めた神様からの呼びかけは、神様がどれほど私たちのことを思っておられるかということ、そしていつでも私たちの近くに来てくださるということを知らせるものでした。「あなたが熱心であることはいい。ただその前に、私を信頼しなさい」。それが神様からあなたへの呼びかけです。この世界がどんな世界になっていても、神様はあなたにとって信頼できるお方でいてくださる。「主を信じる者は、だれも失望することがない」（ローマ10:11）。それは良い知らせ――福音――です。
神様を信頼して生きる
神様への信頼は、イエス・キリストが私たちのためになしてくださったことについて聞くことによってもたらされます。
「聞いたことのない方を、どうして信じられよう。また、宣べ伝える人がいなければ、どうして聞くことができよう。遣わされないで、どうして宣べ伝えることができよう。」（ローマ10:14～15）
「実に、信仰は聞くことにより、しかもキリストの言葉を聞くことによって始まるのです」とパウロも述べています（ローマ10:17）。
クリスチャンとなった誰もが、キリストの言葉を聞き、神様への信頼を与えられました。そこにはいつもキリストの言葉を伝える人がいました。イエス様を通して神様がなしてくださったこと、その良い知らせを伝える人がいました。教会はこの世において、神様が信頼できるお方であることを伝える使命を与えられています。
既に良い知らせを聞かされ、神様を信頼して生きているならば、そのことを宣べ伝えていきましょう。時には言葉で、時には行動で、神様が信頼できること、自分が神様の信頼によって生かされていることを伝えていきましょう。まだ神様への信頼を言い表していないなら、神様の呼びかけを聞きましょう。神様はあなたにとっても真に信頼できるお方だからです。
牧師：杉山望
May, 23th, 2021 Sunday Service
"Live as a Disciple of Christ"
Scripture reading taken from Romans 10:10-17
Church’s birthday
Today is Pentecost. Pentecost means "50th" in Greek. It is the 50th day from the day when Jesus died on the cross and was resurrected on the third day. This Pentecost is also commemorated as the "Holy Spirit Advent Day", the day when the Holy Spirit fell, and is also called the birthday of the church.
Jesus appeared to his disciples for 40 days after his resurrection, showing that he was alive. And when he was raised to heaven, he promised his disciples that "the Holy Spirit will fall upon you."
On the day of Pentecost, as the disciples gathered together, they suddenly heard the sound of a fierce wind blowing, and their fiery tongues sprang up and stayed on top of each one. Then the disciples were filled with the Holy Spirit and began to speak in the languages of other nations. The disciples spoke loudly about Jesus to the people who heard this turmoil.
If the Holy Spirit had only fallen on the disciples, Pentecost might not have been the birthday of the church. The history of the church would not have begun if the disciples had stayed in the house and had not spoken to the gathering people. Pentecost is the birthday of the church because the disciples began to speak publicly about Jesus for the first time since Jesus was resurrected.
The Holy Spirit to call on us to tell the gospel
A church is a church because it preaches Jesus and tells the gospel. Even if we believe that Jesus is the Savior, if we do not preach that, there is no church there. A church can be a church because it tells people the gospel.
However, there is a range of understanding among churches and denominations as to what "evangelism" is. For example, some think that evangelism is that someone is led by Jesus Christ to personal repentance and is reborn, while others think that, like Jesus, it is being in solidarity with the smallest people-the oppressed people. I'm sure both of them are evangelism.
Evangelism is the sharing of the gospel through both words and actions. In either form, people tell and share the good news that Jesus has shown-the gospel. If someone is told the gospel and he accepts it, he will be a disciple of Jesus and start a new life.
The Holy Spirit works among us, guides us to hear and trust Jesus, and makes us reborn. And it calls on us to preach the gospel that we have received-its joy and hope. Guided or pushed out by the Holy Spirit, we evangelize, sometimes in words and sometimes in actions.
The law that creates trust in God
So what is the gospel that the church preaches? Let’ consider this from what the evangelist Paul says in a letter sent to a church in Rome. What Paul politely talks about here is the relationship between the law and the gospel.
The law is God's teaching and commandment; some are written in the Old Testament and some are orally passed down. For the Israelites, it was an important thing given by God, and it was also something for them to maintain a relationship with God.
However, we do not inherit the law. Although we can read the law in the Old Testament, we do not receive it in the same way as the Israelites. That said, the relationship between the law and the gospel that Paul talks about is not unrelated to us.
Israel was pursuing the law, but they could not reach its purpose. It doesn't mean that they were lacking in effort or ability. The cause was that they lost sight of the original purpose of the law. The purpose of the law is to create trust in God.
God is the one who created this world and gave us life. God loves everyone and wants to protect and nurture their lives. And He leads all people to trust in God and to live in peace. To that end, God chose Israel specially, gave them the law, and tried to build a good relationship with Him.
However, Israel stumbled upon “a stumbling stone." The stumbling stone means that Israel tried to reach the purpose of the law "by works, not by faith" (Romans 9:32). Israel was not lazy. Of course, they were often separated from God, but they were eager to obey the law.
The Israelites were trying to become "wonderful human beings" worthy of God's choice. That enthusiasm was not a bad thing. However, in that zeal, Israel forgot to trust in God. Or they might not have forgot to do it, but they prioritized what they did over trust in God.
God did not choose Israel either because they were enthusiastic or they were excellent. Rather, Israel was a weak and small being in this world. God did not break the relationship with them not only when they were enthusiastic, but also when they were about to leave God. God chooses us, loves us, and gives us grace. This is not because we are good people, but because God is good.
Relationships based on our actions are not necessarily unchanged forever. We are constantly changing, and we cannot always be enthusiastic. We cannot be relieved only by relationships that can be connected or disconnected by our actions.
But God never changes. What doesn't change is God's love for us. Even as time goes by and people change, God's love for us, which gave us life and created us in this world, will never change. The purpose of the law was to create trust in such God.
"Trust me"
"Christ is the culmination of the law", says Paul (Romans 10: 4). Jesus Christ is the one who fulfills the purpose of the law. In other words, Jesus showed that God is a reliable one for us.
God does not reward you for doing good deeds. He is not with you because you are enthusiastic. When you make a mistake, lose your zeal, or forget about God, He loves you, He is with you, He pays attention to your thoughts and your voice, and He accepts you as you are. Please listen to and accept it as it is.
In the Bible, various people show their emotion to God. They are sometimes angry, sometimes mourning, sometimes depressed, or sometimes joyful, but God accepts all of their emotions. God always treats us in good faith and accepts us.
Unbearable events can occur in the world we live in or in our life. Something very unacceptable can happen, you can turn your eyes away, or you can be discouraged from standing up.
On the other hand, people are likely to try to think that it is up to how we act whether those events happen. This may be because we have been taught to assume that what we do is everything. If you are a good child, for example, you will be recognized and accepted by your parents and teachers, or if you continue to have good results, you will be able to secure a place in society. The Israelites are not the only ones who tend to see the relationship with God as an extension of this.
Jesus taught us that God is near you.
“The word is near you; it is in your mouth and in your heart,” (Romans 10: 8).
Jesus taught us how close God is. God's call, including the law, was to inform us how much God thinks of us and that he will always be near us. "It's good that you are enthusiastic, but before that, trust me." This is God's call to you. No matter what kind of world this world is, God is a reliable to you. “Anyone who believes in him will never be put to shame" (Romans 10:11). This is good news-the gospel.
Trust in God and live
Trust in God comes from listening to what Jesus Christ has done for us.
“[H]ow can they believe in the one of whom they have not heard? And how can they hear without someone preaching to them? 15 And how can anyone preach unless they are sent?”(Romans 10: 14-15)
"Consequently, faith comes from hearing the message, and the message is heard through the word about Christ.", Paul said (Romans 10:17).
Everyone who became a Christian heard the word of Christ and was given trust in God. There was always someone who conveyed the word of Christ. There was a person who told the good news of what God had done through Jesus. The church is given a mission to convey that God is a reliable one in this world.
If you have already heard the good news and trusted in God, let's preach that. Let's convey that God can be trusted and that we are made alive by trust in Him, sometimes in words and sometimes in actions. If you haven't expressed your trust in God yet, let’s listen to God's call because God is truly trustworthy to you as well.
Pastor Nozomu Sugiyama
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