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エコロジー的な回心

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

 

国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)が本日からエジプトで開幕します。COPはほぼすべての国が参加する地球規模のサミットで、1994年から毎年開催されてきました。2015年の会議で採択された“パリ協定”では、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする、という目標を掲げています。しかし、世界の平均気温はすでに約1.1℃上昇しており、2025年までに平均気温が1.5℃以上高い年が発生する確率は五分五分となっています。

 

1.5℃というのは小さな数に見えますが、世界平均での上昇となると、その影響は甚大なものとなります。既に目を疑うような「異常気象」が国内外で頻発しています。今年だけでも記録的な大雨が降ったパキスタンでは、日本の約2倍ある国土の3分の1が水没し、死者は1700人を超えました。一方、ヨーロッパや中国などでは異常な熱波と干ばつによって河川や湖が干上がったり、大規模な山火事が発生するなど、大きな被害を受けました。あまりにも世界各地で異常気象が頻発しているため、それらをすべて書くことさえ難しくなっています。世界平均気温が1.5℃を超えれば、被害はさらに深刻になります。気候変動は、地球上に生きる全ての人が例外なく影響を受ける重要な問題です。

 

カトリックの教皇フランシスコは、「わたしたちは、自分たちの家であり庭である地球の、そして自分たちの兄弟の世話を忘れました」と告白しています。わたしたちは「地上の物質で作られ、その生活を地の実りによって支えられて」おり、「ただ一つの人類家族として共通の家に、他の被造物と一緒に生物の多様性の中に暮らしています」。神の似姿として、神の愛に倣い、「すべての被造物を大切に尊重し、最も弱い人々をはじめ、わたしたちの兄弟姉妹に愛と憐みを育むよう招かれています」。そのような本来の生き方へと立ち返る「エコロジー的な回心」が今、必要とされています。

※参考:https://www.vaticannews.va/ja/pope/news/2020-04/udienza-generale-earth-day-20200422.html

 

牧師 杉山望