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結び合わせる

Public CoによるPixabayからの画像

 

 

「持続可能」という言葉が頻繁に聞かれるようになりました。2015年の国連サミットで、加盟国の全会一致で採択されたアジェンダに記載された「持続可能な開発目標(SDGs)」の影響が大きいのでしょう。その背景には、大量生産・大量消費・大量廃棄によって引き起こされた環境破壊、資源の枯渇、生物多様性の危機といった地球規模の深刻な問題があります。これらの問題は人の命を脅かす様々な問題を引き起します。また、このような経済活動は、人間の活動の前提となっている環境や資源の限界を超えてしまうために、現在のような経済活動を続けながら社会を維持することは不可能であることが明らかになってきました。人類がこれからも繁栄し続けようとするならば、これまでとは違ったやり方を選ばなければならない、という危機感があったからこそ、世界各国が全会一致で賛同したのです。ただし、どれほど真剣に、また誠実に取り組めているか、ということには疑問が残ります。

 

福井教会の全国支援・地域協働プロジェクトの審査の際に、持続可能な教会形成を目指しているか、ということが問われました。SDGsとは文脈が異なりますが、教会も存続するためには変わらざるを得ない局面に立たされています。方向性はいくつか考えられますが、大切なことは何かと問いながら進む道を見出したいと願います。現代の豊かさは、人のつながりを壊すことによって作られました。そのつながりとは、人と人、人と社会、人と環境、そして人と神とのつながりです。つながりによって生きる社会的な生き物として創られた人間を切り離し、市場経済の中で孤立させたことが、現代の様々な問題の根源にあるように見えます。キリストは異なるものを結び合わせる方です。だから教会がこれから進むべき道は、切り離されたものを結び合わせるような道なのではないかと考えています。

 

牧師 杉山望