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成長させてくださる神

eko pramonoによるPixabayからの画像

 

昨年の夏から育てているカブトムシの幼虫がさなぎになりました。冬の間はあまり動きませんでしたが、暖かくなってくると土の中を動き回りたくさんの土を食べ続けていました。5月に入り、突然、動いている様子が見られなくなりました。約1か月のさなぎ期間を経て羽化し、成虫になって出てくるのを待っています。さなぎになったカブトムシは、体から酵素を出して細胞組織を溶かし、それを栄養として、成虫の体の部分を作ります。どれだけ科学が進歩しても、それは人間にできることではありません。神によって創造された世界・生物には、私たちの想像をはるかに超えるものが満ちており、そのことに驚きを覚えます。

 

伝道者パウロは、「わたしは植え、アポロは水を注いだ。しかし、成長させてくださったのは神です」と語りました(コリントの信徒への手紙一 3章6節)。パウロが教会を建て、後から来たアポロが教会の働きを担った。働きは異なるけれども、それは一つの働きであり、そこで大切なのは成長させてくださる神であった、とパウロは感じていました。それは教会の成長だけでなく、人の成長にとっても大切なことなのではないでしょうか。

 

人はさなぎにはなりませんが、予想外の成長や発達を遂げることがあります。幼虫が育ちやすくなるために、土を変えたり、水をかけたりすることはできても、自分の手で幼虫を思いのままに変えることはできません。人の成長も、環境を整え、愛情を注ぐことはできます。神は人間に成長する力を備えてくださったので、種を蒔かれ、水を注がれた子どもたちは、どんどん成長していきます。大人の思い通りに育てることはできませんが、子どもたちのことを想い、一人ひとりをかけがえのない大切な存在として受け止める人びとの愛と、成長させてくださる神の愛とによって、子どもたちは大きく育ち、豊かに実を結ぶことができるのです。

 

牧師 杉山望