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関係を新しく作っていくプロセス

PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像

 

佐々木さんを支援する会」会報の“ウブムエ”から、片野淳彦さんとのオンライン対談で語られた佐々木和之さんの言葉の一部を紹介します。

※オンライン対談はこちら

 

佐々木さんは「和解」というのは多様な概念なので、イメージを混同しないことが大事だと語ります。「和解は個人・集団間の関係を再構築していくプロセス」であり、そのためには「個人として心理的な癒しを得るプロセス」が必要です。また、「関係再構築のプロセス」が進まないと、被害の承認や補償も進まないため、個人の内面の癒しも進まないので、この両者は相互依存関係にあります。「ただそれが、個人と個人、もしくは小さな集団間で、関係が良くなったとか、仲良くなったとか、一緒に働いているとかだけで終わってしまい、社会の中に抑圧構造や不平等が残り続けるならば、それは持続可能な和解ではありません。それゆえ新しい経済社会構造の構築という観点も、和解のフレームワークに入れなければならない」という点は重要だと感じました。

 

「和解とは、元あった関係に戻すことではない」と語っておられることからも、新しい気付きを与えていただきました。「再構築とは、変容、新しい形を築くプロセスのことです。元々あった関係が、抑圧的なものであれば、そこに戻すことは目標になり得ません。被害者と加害者の関係も同じです。暴力が起きなかったことにはできないのです。それを踏まえた上で、それを乗り越えていく新しい関係を作ることが大切なのです」。戻るのではなく、新しく形作っていくプロセスが和解なのです。

 

「和解とは、長い時間のかかる、場合によっては世代を超えるプロセスです。最初は、個人と個人のプロセスかもしれません。浅い形かもしれません。けれども、その努力が続けられていくことで、より深く、幅が広いものになっていくと思います」。完結しなくても、そのプロセスを歩む努力は将来に繋がっていくものだと気付かされました。

 

牧師 杉山望