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多様性と包摂性

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

 

先週は二つの学びの場に参加しました。土曜日に行われた「青少年伝道カンファレンス」では、西南学院大学の濱野道雄先生から『若者が生きる教会』という題で講演をしていただきました。現代は多様性と包摂性の大切さが訴えられている時代であり、若い世代ほどそれを受け入れ、異なる人が共に生きる世界を理想として描いています。でも、よくよく考えてみれば、それは聖書が示していた「神の国」とも重なって見えます。教会はそのような神の国の姿を先取りするような場所であろうとしてきました。そうである教会は、若者が生きる教会であるだけでなく、多様な人が生きる教会ともなっていきます。そのような意味では、多様性や包摂性は教会にとって未知のことではなく、本来大切にしようとしていたことを、この時代状況の中で再度取り戻していくことなのでしょう。

 

もう一つ、「企業的観点から教会を考える会」という学びの場では、多様な人からなる組織であるために「心理的安全性」が必要だということを学びました。心理的安全性がある組織とは、「対人関係におけるリスクをとっても大丈夫だ」ということが、メンバーに共有されている集団のことです。例えば、率直な意見を言ったときに、空気が壊れたり、嫌われたりするとか、課題を指摘すると、「じゃあ、あながたやって」と丸投げされる、ということが起きるならば、自分の考えや想いを自由に話すことがしづらくなります。そうではなくて、違う意見が出されることや、これまでの常識に囚われない見方が歓迎されたり、課題に対してはチームを組んで取り組むことや、失敗してもいいからチャレンジすることが奨励されるなら、もっと多様な意見や見方が出され、よい働きを生み出していくことができます。

 

どちらの学びの場でも、多様性と包摂性の重要さと共に、それを語るだけでなく、実践が伴うことの重要さも話されました。社会の大きな変化の中で、教会も変わっていくことはあるでしょう。そのときに、聖書が何を語っており、私たちがどのような教会でありたいのか、ということを共に考え、話し合いながら、それを具体的に表していくためにはどんなことができるのか、ということも、見いだしていきたいと思います。

 

牧師:杉山望