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信教の自由を守る日

Alissa De LevaによるPixabayからの画像

 

2月11日は、「建国記念の日」とされていますが、日本のキリスト教界では、この日を「信教の自由を守る日」として覚え続けています。日本バプテスト連盟では、1966年の総会で、「建国記念日を2月11日とすることに反対する声明文」を可決しました。その理由は、「2月11日(旧紀元節)を建国記念日とすることとは、特定の宗派の祭日を国家の祝日とすることであり、憲法に保障されている信教の自由を犯し、我々の信仰的立場である政教分離の原則が破壊されるから」です。旧紀元節では、初代天皇である神武天皇の即位日がこの日であるとされていますが、それは歴史的な事実に基づくものではなく、天皇を神とする「神話」に由来しています。日本国憲法の施行日を「建国記念の日」とすることもできますし、その方がふさわしいと思いますが、あえて天皇を神とする神話を国の由来と関連させることに、戦前から引き続く国家による宗教利用が見てとれるからこそ、キリスト教界はそれに反対し続けています。

 

また、連盟の理事会では「元号不使用」も言明しています。元号は「天皇の在位する期間に従って、ものごとを考えるように促す」ものですが、それは無理があります。例えば「昭和の時代」と言っても、柳条湖事件から始まる15年戦争の期間と、戦後の高度経済成長期を一つの時代として考えることはできません。また、その出来事が今から何年前のことかと考えるときには、誰もが西暦に置き換えて考えているでしょう。歴史の実態をわかりづらくし、かつ生活においても不都合のある元号を敢えて使わせようとするところに、戦前から引き続く国家と宗教の癒着、天皇を利用する意図が感じられます。

 

政教分離と信教の自由は、アメリカの地でバプテスト派の先達が勝ち取った歴史があります。当時はキリスト教界の中で、バプテストであるための闘いでした。それは特定の教派や宗教を守るためのものではなく、政治と宗教が癒着することで人権の抑圧が広がり、国家が暴走することを防ぐためのものです。多様な人々が共に生きられる社会を作るために、教会は国家と宗教の癒着に反対し続けます。

 

建国記念日を2月11日とすることに反対に関する資料(北白川バプテスト教会)

元号法成立に対する反対の声明(1979年6月6日 日本バプテスト連盟理事会)

 

牧師:杉山望