alexramos10によるPixabayからの画像
イエス・キリストは、私たちを新しくしてくださる方です。神から離れ、隣人との関係も傷つけてしまう私たちが、再び神の命を受け、清い生活を送ることができるように、イエスは私たちを導いてくださいます。バプテスマは、私たちが新しく生まれ変わることを象徴します。神は私たちを新しく作り変えることができますし、私たちは何度でも新しくなることができるということを、この個所は思い起こさせてくれます。
新しくなることを決心するバプテスマ
「古い人を脱ぎ捨て、……新しい人を身に着け」るというのは、古い生き方をしていたときと、新しい生き方が始まったときのあり様を対比させる表現です。つまり、「あなたがたは、以前はこうであった。しかし今はキリストにあってこのようになった」ということです。先週の箇所でも、このように語られていました。
「憐れみ豊かな神は、わたしたちをこの上なく愛してくださり、その愛によって、罪のために死んでいたわたしたちをキリストと共に生かし、キリスト・イエスによって共に復活させ、共に天の王座に着かせてくださいました。」（エフェソの信徒への手紙2:4~6）
同じようなことが、他の手紙でも繰り返し語られていますから、新しくなることが、キリストによって私たちに起こされた重要なことであったと言えるでしょう。
古い生き方から新しい生き方に変わるということは、私たちが一人で勝ち取るようなものではありません。それは私たちをこの上なく愛してくださった神と、私たちと共に生きてくださる主イエスによって起こされることです。私たちが「キリストについて聞き、キリストに結ばれて教えられ、真理がイエスの内にあるとおりに学んだ」（4:21）ことも、私たちに与えられた神の賜物です。私たちはイエスと共に、イエスによって、新しくされました。
私たちがクリスチャンとなるときに受けたバプテスマは、このことを表すものでもあります。特にバプテスト教会では全身を水に浸す「浸礼」という形式でバプテスマを行います。イエスが受けられたバプテスマも、全身を浸すものであったと考えられます。そのバプテスマは死と復活を表します。バプテスマによって新しく生まれ変わるのではありませんが、バプテスマを受けることは、キリストと共に古い人を脱ぎ捨て、新しい人を身に着けたこと、身に付けようと決心したことを告白することです。
もし私たちが古い生き方に留まり続け、新しい生き方へと踏み出そうとしないのであれば、バプテスマの意味は失われてしまいます。もちろん、誰だって立ち止まるときはあります。それでも私たちは、バプテスマを受けるとき、イエス・キリストが示された新しい生き方が自分にも始まることを願い、そうなることを決心したのではなかったでしょうか。
それは古いものに決別し、新しいものに忠誠を誓うことでもあります。「肉の欲望の赴くままに生活し、肉や心の欲するままに行動していた」（2:3）古い人を脱ぎ捨てること。代わりに、「心の底から新たにされて、神にかたどって造られた新しい人を身に着け」ること。自分の人生の主導権を新しい生き方へと導く主イエスに明け渡すこと。それがキリスト者としての第一歩でした。
決心を再び奮い立たせる
古い人を着ていた時、私たちは「自分の過ちと罪のために死んでいた」（2:1）のでした。その時には、「愚かな考えに従って歩み、知性は暗くなり、彼らの中にある無知とその心のかたくなさのために、神の命から遠く離れています。そして、無感覚になって放縦な生活をし、あらゆるふしだらな行いにふけってとどまるところを知りません。」（エフェソの信徒への手紙4:17~19）
無知といっても、それは知識の量のことを言っているのではないでしょう。問題となるのは、自分たちが何をなすべきか、何を目指して造られてたのか、と言うことを知っているか、ということです。私たちは神の目的のために、神にかたどって造られました。私たちは神にこの上なく愛された神の作品でありました。そのことを知らずにいた時、私たちは神の命から遠く離れてしまい、肉の欲望の赴くままに生活してしまうのです。
ここでは、異邦人を無知であったと言っています。けれども、異邦人であっても大切なことを知っている人たちがいます。聖書の神を知らなくても、隣人を愛し、共に生きる人たちがいます。他方で、クリスチャンであっても神を忘れ、隣人と敵対することもあります。ここでエフェソのクリスチャンたちが、古い人を脱ぎ捨て、新しい人を着るように勧告されているのも、そこから離れてしまいやすいからでしょう。
イエスは私たちに新しい生き方を示してくださいました。それは新しいことでありつつ、本来、人間がそうあるべき姿でもありました。この手紙の著者は私たちに、イエスから学んだこと、イエスについて聞いたこと、イエスに結ばれて教えられたことを思い起こさせ、もう一度、バプテスマを受けた時の決心を再び奮い立たせようとしているのです。
「だから、以前のような生き方をして情欲に迷わされ、滅びに向かっている古い人を脱ぎ捨て、心の底から新たにされて、神にかたどって造られた新しい人を身に着け、真理に基づいた正しく清い生活を送るようにしなければなりません。」（エフェソの信徒への手紙4:22~23）
私たちに先立つ神
ただここで気を付けるべきことは、このような新しい生き方への訴えを律法主義のように受け止めるべきではない、ということです。神が私たちをこの上なく愛してくださったこと、キリストが私たちと共に生きてくださることは、私たちが新しい生き方を始めることを条件としているのではありません。むしろ、私たちが新しい生き方へと踏み出すために、キリストが私たちの下へと降ってきてくださったのです。
神の賜物は、因果応報の論理に沿って与えられるものではありません。自分が良い行いをしたり、有能であったりしたから、賜物が与えられ、新しい人を着ることができた、ということではありません。逆に、新しい生き方を歩み続けることができなかったとしても、それが他の人に比べて自分の行いが悪いという証拠にもなりません。神は「悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださる」方です（マタイによる福音書5:45）。
「新しい人を身に付け、清い生活を送るように」、という訴えは、神の賜物を受けるための条件ではありません。むしろ、神の賜物を基盤として、私たちはその訴えに応えるのです。「キリストについて聞き、キリストに結ばれて教えられ、真理がイエスの内にあるとおりに学んだ」とき、私たちも新しい人を着せられます。私たちの応答に先立って、神の愛とキリストの御業があるのです。
古い人を脱ぎ、新しい人を着よう
「だから、キリストと結ばれる人はだれでも、新しく創造された者なのです。古いものは過ぎ去り、新しいものが生じた。これらはすべて神から出ることであって、神は、キリストを通してわたしたちを御自分と和解させ、また、和解のために奉仕する任務をわたしたちにお授けになりました。つまり、神はキリストによって世を御自分と和解させ、人々の罪の責任を問うことなく、和解の言葉をわたしたちにゆだねられたのです。」（コリントの信徒への手紙二 5:18～19）
新約聖書には、旧約聖書にあったような詳細な規則はありません。しかしそれは、私たちが自分の思うままに生きてよいということではありません。私たちは古い人を脱ぎ捨て、新しい人を身に付け、清い生活を送るように訴えられています。
それは心のあり様が変わった、ということに留まりません。もちろん、私たちの中の人が新しく変わることを伴いますが、神は私たちが新しくなることで、神との関係も、人と人との関係も新しくなることを目指しておられます。
エフェソの信徒への手紙4章25節以降のところに、その一例が挙げられています。
「偽りを捨て、それぞれ隣人に対して真実を語りなさい。」（4:25）
「怒ることがあっても、罪を犯してはなりません。」（4:26）
「盗みを働いていた者は、今からは盗んではいけません。」（4:28）
「聞く人に恵みが与えられるように、その人を造り上げるのに役立つ言葉を、必要に応じて語りなさい。」（4:29）
「互いに親切にし、憐れみの心で接し、神がキリストによってあなたがたを赦してくださったように、赦し合いなさい。」（4:32）
ここに挙げられたことは、新しい生き方の一例であって、全てではありません。それぞれの時と場合によって、どのような振る舞いが該当するのか、ということも、これだけで明確になるわけでもありません。ただ、新しい生き方は私たち自身を作り変えるものであると同時に、私たちの関わる関係、あるいは社会をも変えていくものであることはわかります。
誰もが古い人を完全に脱ぎ捨てることはできていません。新しい人を着せられても、まだ古い部分が残っていますし、古い人に戻ろうとすることもあります。それでも新しい人を着せられたことは私たちにとって特別な神の賜物であり、喜びであり、感謝でした。
私自身、まだまだ古い人を脱ぎ切れていません。生きている間に、完全に新しくなることはできないでしょう。それでも、少しずつでも新しくなりたい。新しくなり続けたいと願っています。
水のバプテスマは一回きりの経験ですが、私たちは何度も新しくさせられます。キリストによって、私たちは何度でも古い人を脱ぎ、新しい人を着せられます。そのことを求めて歩むようにとの訴えに応えること、そのために学び、また訓練することは、私たちにとっても喜びと感謝をもたらすものとなるでしょう。
教会も同様に、新しくなることができます。もし教会が古い人を着たままで、この世の縮図のようになっていたら、良い証しをすることはできないでしょう。完全にならなければ証しができないというのではありません。むしろ、キリストに結ばれ続け、新しい人を着ようという歩みを続けていることが、よい証しとなるでしょう。
牧師 杉山望
January, 23, 2022, Sunday Service
"Putting Off Your Old Self and Put On the New Self"
Scripture reading is taken from Ephesians 4:20-24
Baptism to decide to be new
"To put off your old self… and to put on the ...... new self" is an expression that contrasts the old way of life with the new way of life that has begun. That is, “Now you have become like this in Christ”. This is what was said in last week's passage.
" But because of his great love for us, God, who is rich in mercy, made us alive with Christ even when we were dead in transgressions—it is by grace you have been saved. And God raised us up with Christ and seated us with him in the heavenly realms in Christ Jesus," (2:4-6)
The same thing is repeated in other epistles, so we can say that being renewed was an important thing that Christ caused us to do.
The change from the old way of life to the new way of life is not something that we can win alone. It is something that happens through God who loves us so much and the Lord Jesus who lives with us. It is God's gift to us that “you heard about Christ and were taught in him in accordance with the truth that is in Jesus. " (4:21). We have been made new with Jesus and by Jesus.
The baptism we received when we became Christians is also an expression of this. Especially in Baptist churches, baptism is done by "immersion," in which the whole body is immersed in water. It is thought that the baptism that Jesus received was also a full-body immersion. That baptism represents death and resurrection. We are not born again by baptism, but to be baptized is to confess that we have put off the old man and put on the new man with Christ, and that we have decided to put on the new man.
If we continue to stay in the old way of life and refuse to step out into the new way of life, then the meaning of baptism is lost. Of course, we all have times when we stop. Nevertheless, when we were baptized, didn't we hope that the new way of life that Jesus Christ showed us would begin for us, and didn't we make up our minds to do so?
It means to say goodbye to the old and to pledge allegiance to the new. To put off the old man, who "lived among them at one time, gratifying the cravings of our flesh" (2:3). Instead, we are to be "renewed in spirit, clothed with a new man, made in the image of God”. To surrender control of your life to the Lord Jesus, who will lead you to a new way of life. This was the first step to becoming a Christian.
Reinvigorating my resolve
When we were wearing the old man, we were "dead in your transgressions and sins" (2:1). At that time, “They werw in the futility of their thinking. They are darkened in their understanding and separated from the life of God because of the ignorance that is in them due to the hardening of their hearts. Having lost all sensitivity, they have given themselves over to sensuality so as to indulge in every kind of impurity, and they are full of greed." (4:17-19)
Ignorance does not refer to the amount of knowledge we have. The question is, do we know what we are supposed to do and what we were created to do? We were created in the image of God, for God's purpose. We were God's workmanship, loved by God more than anything else. When we don't know that, we are far away from the life of God and live according to the desires of the flesh.
In this passage, the Gentiles are called ignorant. However, there are Gentiles who know the important things. Even if they do not know the God of the Bible, there are people who love their neighbors and live together. On the other hand, there are Christians who forget God and become enemies with their neighbors. The reason why the Christians in Ephesus are admonished to put off the old man and put on the new man is because it is easy to drift away from that.
Jesus has shown us a new way of life. It was a new thing, but it was also what human beings were supposed to be. The author of this letter wants to remind us of what we have learned from Jesus, what we have heard about Jesus, what we have been taught in union with Jesus, and to rekindle the resolve we had when we were baptized.
“You were taught, with regard to your former way of life, to put off your old self, which is being corrupted by its deceitful desires; to be made new in the attitude of your minds." (4:22-23)
God before us
It is important to note here, however, that we should not take this appeal to a new way of life as legalism. The fact that God has loved us so much and that Christ lives with us is not a condition for us to begin a new way of life. Rather, Christ has come down to us so that we can step into a new way of life.
The gifts of God are not given according to the logic of cause and effect. It does not mean that because you did good deeds or were capable, you were given a gift and were able to put on a new person. On the contrary, even if you are not able to continue to walk in the new way of life, that does not prove that your deeds are worse than others. God is the one who " causes his sun to rise on the evil and the good, and sends rain on the righteous and the unrighteous." (Matthew 5:45).
The appeal to "put on the new man and live a clean life" is not a condition for receiving the gifts of God. Rather, it is on the basis of God's gifts that we respond to the appeal. When we have "heard about Christ, been taught in union with Him, and learned the truth as it is in Jesus," we too are clothed with the new man. Our response is preceded by God's love and the work of Christ.
Let us put off the old man and put on the new man
Therefore, if anyone is in Christ, the new creation has come: The old has gone, the new is here! All this is from God, who reconciled us to himself through Christ and gave us the ministry of reconciliation: that God was reconciling the world to himself in Christ, not counting people’s sins against them. And he has committed to us the message of reconciliation. We are therefore Christ’s ambassadors, as though God were making his appeal through us. We implore you on Christ’s behalf: Be reconciled to God. God made him who had no sin to be sin[b] for us, so that in him we might become the righteousness of God. " (2 Corinthians 5:17-19)
The New Testament does not have the detailed rules that the Old Testament had. But that doesn't mean we can live as we please. We are called to put off the old man, put on the new man, and live a clean life.
It is not just a matter of changing our minds. Of course, it involves a renewal of the person in us, but God's goal is that as we are renewed, our relationship with Him and with others will be renewed as well.
One example of this is found in chapter 4, verse 25 and following.
“you must put off falsehood and speak truthfully to your neighbor” (4:25)
“In your anger do not sin” (4:26)
“Anyone who has been stealing must steal no longer” (4:28)
"Do not let any unwholesome talk come out of your mouths, but only what is helpful for building others up according to their needs, that it may benefit those who listen." (4:29)
"Be kind and compassionate to one another, forgiving each other, just as in Christ God forgave you." (4:32)
These are just a few examples of the new way of life, not all of them. It does not make it any clearer what kind of behavior is appropriate for each time and situation. However, we can see that the new way of life will not only remake us, but will also change the relationships we are involved in, or the society we live in.
None of us has been able to completely shed the old person. Even when we are clothed with a new person, there are still parts of us that are old, and sometimes we try to go back to the old person. Still, being clothed with a new person was a special gift of God for us, a joy and a gratitude.
I myself have yet to shed the old person. I will not be able to be completely renewed during my lifetime. Still, I want to become new, even if only little by little. I want to continue to be new.
Water baptism is a one-time experience, but we are made new again and again. Through Christ, we can put off the old man and put on the new man again and again. It will bring us joy and gratitude to respond to the appeal to walk in it, to learn and train for it.
The church can likewise be renewed. If the church is a microcosm of the world, still wearing the old man's clothes, it will not be able to give a good testimony. It is not that we have to be perfect to be able to witness. Rather, it will be a good testimony if we continue to be connected to Christ and continue to walk in the way of putting on the new man.
Pastor Nozomu Sugiyama
コメントをお書きください