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手渡されたバトン

nadin kimによるPixabayからの画像

6月23日、沖縄「慰霊の日」(連盟では「沖縄『命どぅ宝』の日」)、糸満市摩文仁の平和記念公園で開かれた戦没者追悼式で、上原美春さん(中学2年生)が『みるく世(ゆ)の謳(うた)』と題した平和の詩を朗読しました。

 

 ……この空はきっと覚えている 母の子守唄が 空襲警報に消された出来事を

 灯されたばかりの命が消されていく瞬間を

 吹き抜けるこの風は覚えている うちなーぐちを取り上げられた沖縄を

 自らに混じった鉄の匂いを

 踏みしめるこの土は覚えている まだ幼さの残る手に 銃を握らされた少年がいた事を

 おかえりを聞くことなく 散った父の最後の叫びを……

 

私は姉が沖縄で暮らしていることもあり、沖縄に行く機会もありましたし、それ以外にも沖縄の歴史や戦争のことを学ぶ機会がありました。その時はショックを受けたのに、時が経つにつれて忘れそうになっていた記憶を、この詩は呼び起こしました。日本に強制併合され、同化政策によって尊厳を踏みにじられ、本土決戦を遅らせるための捨て石とされ、老若男女の住民すべてを巻き込んで多大な犠牲を強いられたことは、本当にあったことでした。

 

2017年12月、普天間バプテスト教会付属保育園の屋根に米軍ヘリからの落下物が衝突しました。落下位置が50cm、落下のタイミングがほんのわずかにずれていれば、屋根を大きくへこませたその落下物が園児に直撃していたかもしれません。沖縄戦の最中、米軍は民家も畑も墓さえもブルドーザーで潰して普天間基地の滑走路を作りました。国土面積の0.6%に過ぎない沖縄に、全国の7割以上の米軍専用施設が集中しています。事故の後も、部品の落下、不時着・墜落は繰り返されています。辺野古には新たな基地の建設が強行され、その埋立てのために戦時の遺骨を含んだ土が使われようとしています。

 

それでも、平和を願い、この世を良くしていきたいと繋がれ、手渡されたバトンがあります。私たちはどんなバトンを受け取り、どんなバトンを手渡していくのでしょうか。