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世界環境デー ~生態系の回復~

cocoparisienneによるPixabayからの画像

昨日は「世界環境デー」でした。日本では「環境の日」と呼ばれており、6月を「環境月間」としても定めています。これは1972年に日本が提案し、国連で定められたものだったようです。今年のテーマは「生態系の回復」。2021年からの10年間を「国連生態系回復の10年」とされたことを受けたテーマです。

 

この背景には、生態系を構成する生物多様性が急速に失われていることがあります。1年間に絶滅する種の数は、1万年前には0.01種程度でしたが、100年前からは1種、現在では1日に約100種、1年間に約4万種が絶滅していると言われています。しかもそのスピードはなお加速し続けており、このままでは25~30年後には地球上の全生物の4分の1が失われてしまいます。特に昆虫のうち40%が減少していて、今後数十年で絶滅する可能性がある、という論文も発表されています。

 

昆虫がいなくなると、それを食糧としていた鳥類や小型の動物や魚も生きられなくなります。また、昆虫は植物の授粉に計り知れないほど大きな役割を果たしているため、昆虫がいなくなると、植物の絶滅も引き起こされます。そうなれば、人間の生きる環境も揺るがされてしまいます。

 

その原因を作っているのは私たち人間です。森林は多くの生物のすみかとなっていますが、それを破壊して家畜の放牧地や飼料の生産に使われています。農薬による土壌汚染や、水質汚染も大きな問題です。農薬は殺虫剤ですから、生き物にとっては「毒」であり、生態系にとって不可欠の昆虫までも殺してしまうのです。

 

すべての生物種は生態系というシステムの中でそれぞれ重要な役割を担っていますが、人類はその仕組みをすべて理解しているわけではありません。また、全ての生物種は一度絶滅すると再び人間の手では作り出すことはできません。環境破壊の根本原因である大量生産、大量消費、大量破壊の生活を見直す時に来ています。無農薬野菜を選んだり、殺虫剤の利用を減らしたり、省エネを心がけたりすることからなら始められるでしょうか。