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「うっせぇわ」の先へ

Free-PhotosによるPixabayからの画像

YouTubeに投稿されて半年ほどで1億3千万回以上再生された「うっせぇわ」という楽曲があります。https://www.youtube.com/watch?v=Qp3b-RXtz4w

 

この歌の作詞者は20代、歌っているのは高校生です。年長の世代ほど、この歌詞が理解し難いかもしれません。30代の私もこの歌を「自分の歌」だとは思えないギャップを感じます。ある人は、「『うっせぇわ』が描いているのは、大人への断念であり、実際には語られることのない本音である」と批評していました。確かにこの歌は、年長者に聞いてもらおうとか、理解してもらおうという意図はなさそうです。この歌詞は社会人が想定されていますが、20代の社会人から10代に向けて「年長世代をスルーする」という処世術を伝えているのではないか、とも分析されています。

 

このような歌が若者世代で共感を集めている理由として、現代日本において若者が“マイノリティ”になっていることが挙げられています。10代の人口は約1100万人で、総人口の約8%程度になりました。ただでさえ年長者が優位になりやすい日本社会において、人口も減っている若者たちが、「言いたいことはたくさんあるけれど、どうせ言っても無駄だ」と思い、心の中で「うっせぇわ」と言って、関係を遮断して自分を守るしかなくなっているのかもしれません。

 

マイノリティであることは自覚せざるを得ませんが、マジョリティであること、そのことによって力を持っていることは意識しなければ気づくことができません。分断された関係を繋ぎ直すためには、自分たちがどのような力関係の中にいるのか、意識しようと努めることが必要です。