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この世の闇を照らす光

Myriams-FotosによるPixabayからの画像

クリスマスの讃美歌には、 “きよしこの夜”のように二百年前から歌い継がれているものもありますが、近年作られた讃美歌からもクリスマスの意味を深く味わうことができます。新生讃美歌195番の“待ちわびし日”(作詞・作曲:天野時生)もその一つです。

 

 1.待ちわびし日 静かな夜に かがやく明星(あかぼし) 闇に勝ちて

   世を照らせり きよきこの日 救いの主なる イェス生まれぬ

 2.神にそむき 愛をこばみ 滅び行く民を 主は見捨てず

   救いのため まぶねの中 人の子となりて イェス生まれぬ

 3.罪に死にて 愛に生まれ 喜びの旅路 今始まる

   たたえ歌え インマヌエルと 尊き神の子 イェス生まれぬ (『新生讃美歌』より)

 

この讃美歌は、北九州市にあった、在日大韓教会の会員が経営する喫茶店「山小屋」で行われた青年会主催のクリスマスコンサートに向けて作られた讃美歌でした。

「12月に入ると町はクリスマス一色になり、日本人は総クリスチャンになります。デパート等ではクリスマスを売り物にしている。そのような現実を憂い、“真のクリスマスを伝えたい”と祈りながら、勤務先付近の繁華街を歩いていたなかで詞と曲が与えられました。山小屋はその繁華街にあり、世俗との戦いの中、まさに“真のクリスマス”を示した曲です。原曲は4番まであり、キリストの生誕のみならず生涯まで綴りました。穏やかな詞と曲ですが、“人間が作った光はどんなに輝いていても消え去る。しかし、キリストが与える光は小さくても強く永遠にひかり続ける”という力強いメッセージを込めています。」(天野時生)

 

コロナ危機が世界を覆っていますが、世の闇はウイルスよりも、人の罪が根源的な原因となっているように見えます。医療(特に看護師)・介護・保育の現場は感染リスクも高く、強いストレスを受けますが、これまでも給与が低く抑えられてきました。それらの職業は、男性よりも女性中心に担わされてきました。日本で働いている技能実習生の中には、受け入れ企業から解雇され、行き場を失う方々が増えています。彼・彼女たち借金をして来日しているので、すぐに帰国するわけにもいきません。キリストは世の闇の中に生まれ、それを照らす光となられました。私たちは闇ではなく、光を求めます。