· 

希望を受け継ぐ

先週の木曜日の夜、「佐々木和之さんオンライン報告会」がYouTubeでのライブ配信で行われました。佐々木さんは大虐殺の起きたアフリカのルワンダで、2005年から現地のNGOと協力して「癒しと和解」プロジェクトを展開し、2011年1月からは、プロテスタント人文・社会科学大学に平和学科を設立して、新しい世代の教育を担ってこられました。

 

佐々木さんはこれまで、平和のために働く人々を育て、その人たちを繋ぐ働きをしてきました。平和構築の理論を教えながら、和解の現場に学生たちを出会わせることで、人を分け隔て、一方だけが悪い人だと教え込まれてきた学生たちの目が開かれていきました。和解した人たちに出会うことで、学生たちは希望を受け継いだのです。

 

報告の最後で、佐々木さんはコンゴ人の卒業生であるデビッド・ニリンガボさんが語ったことを紹介してくださいました。「私の国には武装勢力に加わった多くの若者たちがいます。私は平和の働きに献身する新しい世代を生み出したいのです。今の不公正な社会構造ができるのには時間がかかりました。その暴力的なシステムを解体し、持続可能な平和構築の礎を築くためにも時間が必要なのです」。

 

佐々木さんたちが目指している平和な社会とは、単に戦争や紛争が止むだけではなく、貧困や差別、抑圧が乗り越えられ、弱い立場にいる人がエンパワーされ、公正でお互いを大切にするようになり、対立が起きたときにも非暴力で、対話によって解決する社会です。そのような平和を作っていくことはとても大きな事柄であり、一人の人生で完結するものではなく、また実践することも簡単ではありません。そこに向かうためには、大きな課題にも粘り強く取り組む人の献身と、その人たちのネットワークが広がること、そして新しい世代に働きを引き継いでいくことが必要だ、と佐々木さんは語りました。

 

現在の不公正な社会構造も、突然に作られたものではなく、時間をかけて作られたものです。また、暴力に基づく文化も時間をかけて社会に根付いてものです。それを公正な社会・平和な文化へと変えるには時間がかかりますが、平和に向かうことはできます。先に平和のために献身した人がおり、またこれから平和のための働きを担おうとする人がいる。そして何より、神が平和を作り出すために今も働いておられる。そのことから希望を受け継いでいきます。

 

Rachel GriffithによるPixabayからの画像