2020年度の主題と聖句
金沢教会では、毎年の定期総会で、一年間の主題と主題聖句を選んできました。今年は総会を行うことができませんでしたが、文書で皆さんに投票していただきました。民主的な教会運営を大事にするバプテスト教会にとって、総会は重要なことですが、状況が落ち着いたら、これからの教会のこともみんなで語り合っていきたいと思います。
今年度の主題と主題聖句はこのようなものになりました。
金沢キリスト教会・2020年度主題：「喜びをもって主に仕える」／主題聖句：詩編100編1～2節
「全地よ、主に向かって喜びの叫びをあげよ。喜び祝い、主に仕え、喜び歌って御前に進み出よ。」
この主題と聖句の案を選んだ理由として、「新しく牧師を迎え、みんなで心を一つにして、喜びをもって進みたい」、という思いが書かれていました。教会は、牧師一人で担うものではなく、みんなで担うものです。主体的に、喜びをもって主に仕えることで、金沢教会の新しい一歩を共に歩み出したいと思います。
礼拝への招き、礼拝を待ち望むこと
主題聖句に選ばれた詩編100編には小見出しがついています。そこには、「賛歌。感謝のために。」と書かれています。この詩編は神様に感謝の讃美をささげる歌です。それは特に、当時の神殿――つまり神様を礼拝するためにみんなが集まった場所――へと人々を招き、励ます歌でした。みんなで神殿の門をくぐり、神殿の庭に入っていくときに、この歌を歌う。あるいは、この歌を聞きながら、神殿での礼拝へと心を一つにしていく。そのような光景が想像できます。
私はこの詩編から二つのメッセージを受け取りました。一つは、同じ場所に集まれなくても、主なる神様を礼拝せよ、という招きの声です。この詩編は神殿に入るときの歌といいましたが、礼拝は神殿や教会だけでささげるものではありません。当時のイスラエルでも、日頃の礼拝はそれぞれの生活の場である町や村でささげていました。私たちも、それぞれの場所で礼拝をささげています。この詩編のみ言葉は、礼拝の場所に関係なく、主を讃美せよ、神様を礼拝せよ、と呼びかけることを強調しているように思えます。
それでも、共に集まって礼拝をささげることを待ち望む思いも強まります。この詩編は神殿に入るときに歌った、と言いましたが、神殿に行くのは年に一度だけ、という人もいたでしょう。この詩編を歌った人たちも、神殿に行って、一緒に礼拝をささげる日を待ち望んでいたのです。今は離れていても、また一緒に礼拝をささげたい、という思いが、この詩編によって強められます。そしてそれは私たちの思いとも重なるでしょう。
私たちは教会に集えなくても、礼拝をささげます。それでも、また教会に集まり、顔と顔とを合わせて、共に礼拝をささげる日を待ち望みます。そのように考えると、この詩編は私たちにも向けられた御言葉だと思えるのです。
全地が主に仕える
詩編の内容を、詳しく見てみましょう。この詩編には命令形の呼びかけが繰り返されるという特徴があります。最初に、主なる神様をこの世界の王として迎えるように、と呼びかけられます。
「全地よ、主に向かって喜びの叫びをあげよ。
喜び祝い、主に仕え、
喜び歌って御前に進み出よ。」（詩編100：1～2）
私たちが主を王として迎える、ということは、私たちが主に仕えることでもあります。それは主を賛美し、主の御言葉を聞き、主の呼びかけに応え、主の示される道を歩む、ということです。
興味深いのは、この呼びかけが「全地」に向かってなされていることです。それはつまり、この世界のすべての人に向かって呼びかけているということです。この詩編は、すべての人が主を王として迎え、主に喜びの叫びをあげ、主に仕える者となるようにと呼びかけているのです。
全地が主に仕える、といっても、それはキリスト教徒が世界征服するということではありません。それは人間の支配ではなく、主の支配です。政治的権力者であっても、宗教者であっても、人間が人間を支配することに向かっているものではありません。
この御言葉が実現していくとき、多くの人が主を礼拝し、そこには多様な人が集まることになります。その人々は、主の御心が世界に実現することを願い、主に仕える人々です。それぞれの立場で、主なる神様の御心を求め、それぞれにできる応答をなしていくことが、全地が主に仕えることにつながっていくでしょう。
羊飼いである主こそ神である
3節では、王として迎えられる主がどのようなお方であるかを知るように求められます。
「知れ、主こそ神であると。 主はわたしたちを造られた。
わたしたちは主のもの、その民、主に養われる羊の群れ。」（詩編100：3）
初めに知るべきことは、「主こそ神である」ということです。聖書によって伝えられた、主と呼ばれる方こそ本当の神であること、ほかならぬ私の神であることが、第一にあげられます。
それに続いて、主の創造の御業があげられます。主はわたしたちを造られた。本当の神である主は、この世界を造り、私たち人間を造り、生命を与えられた。私たちはみんな主によって造られた、主が私たちの造り主である、といことを知るように呼び掛けられます。
私たちは主に造られたので、私たちは主のものです。主のもの、と言っても、それは主の所有物になる、ということではありません。それは同時に、私たちは誰の所有物でもないことを告げています。私たちは主のものという宣言は、奴隷制があった時代だけでなく、私たちの自由を奪い、思想を奪い、命の価値を定めようとすることを拒絶します。私たちのことを、わたし（主）のものと呼ぶことができるのは、私たちを造られた神様だけだからです。
「私たちは主のもの」、というとき、それは私たちが「主に養われる羊の群れ」である、ということです。主は私たちの生命に心をくだき、愛を注ぎ、正しい道へと導いてくださるのです。それはまるで羊の群れを養い、導く羊飼いのようです。主のもの、というとき、主が私たちに責任をもって関わり、大切にしてくださっている、ということが告げられているのです。
私たちは、主が私たちの羊飼いとなってくださるから、自分が主のものであることを喜び、私たちを造られた主こそ神である、と告白することができます。主に仕えることは、奴隷となることではなく、羊飼いである主に従い、主に養われつつ、主に応えることです。誰よりも私たちを愛してくださる主だからこそ、私たちは「主こそ神である」ということを知り、主に感謝の讃美をささげるのです。
主は良いおかた
4節では、詩編は神殿の門を通り、神殿の庭で感謝の讃美を歌うようにと呼びかけます。そして5節は、一同に集まったすべての人々が声を合わせて歌う言葉です。
「感謝の歌をうたって主の門に進み、感謝の歌をうたって主の庭に入れ。
感謝をささげ、御名をたたえよ。
主は恵み深く、慈しみはとこしえに。主の真実は代々に及ぶ。」（詩編100：4～5）
ここから、すべての人に開かれ、様々な人が集まった礼拝の場が思い浮かべられます。その礼拝は喜びに満ちています。主がその礼拝の場にいてくださり、私たちと向き合い、生命を与える御言葉を呼びかけてくださるからです。神様に基づく喜びに満ちた礼拝へと、私たちも、またすべての人々も招かれているのです。
その主は恵み深い、と言われています。ここで「恵み深い」と訳された言葉は、元のヘブライ語では“トーヴ(טוֹב／tov)といい、「良い」という意味をもっています。英語では”good”と訳されます。直訳すれば、「主は良い」、となります。「良い人」というと、それぞれに思い浮かべるイメージがあるでしょう。主はそれ以上に、本質的に良いおかたでしょう。私たちが主に出会うとき、主は私たちにとって良いおかただと知ることになります。
イスラエルの人々が様々な経験をしながら、主なる神様がどのようなおかたであるか、告白してきました。奴隷状態から解放され、豊かな土地を与えられ、力をもって心が離れた時にも見捨てず、時に厳しく向き合われ、恐れに捕らわれるときには励ましを与え、絶望の闇に捕らわれたときには希望の光を示された。何百年、何千年の歩みの中で、主は私たちにとって良いおかただ、ということをイスラエルの人々は知ったのです。
私たちも主と出会うときには、主は私たちにとって良いおかただと知ることになるでしょう。そのことを知ったからこそ、私たちは主を礼拝することを止めませんし、主に感謝と喜びの賛美をささげるのです。
喜びをもって進もう
今、世界は大きな転換期に入っています。今回のコロナの影響で、その変化のペースは加速しているように感じます。それでも、主こそ神であること、主が私たちの羊飼いであること、主が良いおかたであることは、変わることがありません。
一方で、私たちは変化しました。礼拝も、感染拡大防止のために、教会に集まることを断念し、インターネットを使ってそれぞれの場所で捧げるようになりました。そうなったからといって、今後、教会に集まることがなくなるわけではありません。けれども、感染が終息した後、私たちのすべてが元通りになる、ということはなさそうです。様々な変化の中で、礼拝のささげ方や、教会の在り方も、変わっていくこと、変わらざるをえないことも出てくるかもしれません。
急激な変化は不安や戸惑いを生じさせます。けれども、変化することには新たな可能性も含まれていて、必ずしもネガティブなことばかりではありません。大切なことは、私たちがどうありたいのか、どうなりたいのか、ということです。私たちはどのような礼拝をささげ、どのような教会であろうとするのか。主の呼びかけを聞き、その招きに応えて、私たちが選び取っていくことが大切です。
この一年、私たちは「喜びをもって主に仕える」というテーマを掲げて歩みます。主なる神様が、すべての人を喜びの礼拝に招いておられること、主こそ神であることを知るように呼び掛けておられることを覚えながら、私たちの礼拝、私たちの教会の在り方を訪ね求めていきましょう。
（牧師・杉山望）
May 10th,2020 Sunday Service
"Know that the Lord is God"
Scripture reading taken from Psalms 100:1~5
The theme and Bible verse for 2020
In Kanazawa Baptist Church, every year during the annual general meeting, we would discuss and select the theme along with the Bible verse for the year. However, this year we could not hold the AGM, therefore we got everyone to send in their votes through letter. As our Baptist church is a church that places importance in democratic values, the general meeting is an important event to us. However, in the current situation, we decided to hold it off until the situation has calmed down.
The theme and Bible verse for the year is as follows.
Theme for the year 2020: Serve the Lord with joyfulness
Bible verse: Psalms 100:1-2
“Shout for joy to the LORD, all the earth.
Worship the LORD with gladness; come before him with joyful songs.”
The reason this theme and scripture was suggested is as the church welcomes a new pastor, let our hearts unite as one as we move forward together with joyfulness. The church is not a church because of the pastor, but because of everyone. Let us proactively serve the Lord with joyfulness and take a new step forward together with Kanazawa Baptist Church.
Invitation to worship, waiting expectantly for worship
In this year’s Bible verse, Psalm 100, there is a small note in the beginning of the chapter, “A psalm. For giving grateful praise.” This psalm was written as a thanksgiving song to God. It was a song used to invite people to worship God as well as to encourage the people who are gathered in the temple (a place people gather to worship God). They sing this song as they pass through the gates of the temple and as they enter the temple’s garden. It could also be used as a call to worship where they listen to the song while preparing their hearts for worship. I can imagine how it was like back in that time.
I received 2 messages from this psalm. One is the invitation to worship the Lord God even if we are not gathered in the same place. This psalm was sung as they entered the temple, but worship is not limited to temples and churches. Even in that time’s Israel, daily worships were offered in the towns and villages where they lived. We are also doing the same as them, offering worship in our houses. This psalm is emphasizing on the call to worship regardless of where we are or where the worship is held.
Nevertheless, the desire to gather together and offer worship grows stronger. As previously stated, this song was mostly sung as they enter the gates of the temple, but there are probably some who only visit the temple once a year. Those who sang this song were also looking forward to the day where they can go to the temple and worship with the others. Though we are separated, this psalm strengthens the desire to worship together. And I believe that overlaps with our thoughts.
We continue to worship God even if we cannot meet in Church. Nevertheless, I still look forward to the day when we will meet again in church and worship together. If our thoughts are the same, then this psalm is suitable for us.
The world will serve the Lord
Let’s take a closer look at the contents of the Psalm. The characteristics of this Psalm is that it repeatedly gives out callings. First, it calls us to welcome the Lord God as the King of the world.
“Shout for joy to the LORD, all the earth.
Worship the LORD with gladness; come before him with joyful songs.”
To welcome the Lord as King also means that we serve the Lord. It short, we are praising the Lord, listening to His word, responding to His call, and walking down the path He prepared for us.
The interesting part is that this call is being made to “the whole earth”. In other words, it is a call to every human in this world to welcome the Lord as King, shout for joy to the Lord, and to serve the Lord.
The fact that this Psalm calls on the whole earth to serve the Lord does not mean that Christians should go and conquer the world. It is not the rule of man, but the rule of the Lord. Political and religious authority is not made so that you can rule over another human being.
When the word come to pass, many people will worship the Lord and various people will gather there. They are the ones who will serve the Lord and hope that the Lord’s will be done on this world. I believe that seeking God’s will from each our standpoint and responding accordingly will lead to the world serving the Lord.
The Lord, the shepherd, is God
In Psalm 100:3, we are instructed to know who our Lord is.
“Know that the LORD is God. It is he who made us, and we are his; we are his people, the sheep of his pasture.” Psalm 100:3
The first thing we need to know is that the Lord is God. The Bible tells us that the Lord is the one true God, and that the Lord is our one and only God.
Following that is the work of creation by the Lord. The Lord created us. The Lord, the one true God, created this world, created humans and gave them life. We are called to know that we are all created by the Lord, and that He is our creator.
We are his because He created us. But that does not mean we are God’s property. The verse is also stating that we are no one’s property. The declaration that we are his is not just because there was slavery at that time, it is also to reject the deprivation of freedom, deprivation of thoughts, and the fixation of the value of human lives. We can say that we belong to Him because we were created by Him.
When we say we are His, we are in fact saying that we are a flock of sheep fed by the Lord. The Lord poured in His heart and love into our lives and leads us down the right path. It is like a shepherd feeding and guiding a flock of sheep. By declaring that we are His, God is responsible for our lives and takes good care of us.
We can rejoice because the Lord is our shepherd and confess that the Lord who created us is God. To serve the Lord is not to be a slave, but to obey the Lord they way a sheep obeys its shepherd, and to respond to Him while being nourished by Him. We can give thanks and praise the Lord because we know the Lord is God and that He loves us more than anybody could.
The Lord is good
In Psalm 100:4, the writer calls us to enter his gates with thanksgiving and his courts with praise. And in verse 5 were the words that everyone who gathered sing together.
“Enter his gates with thanksgiving and his courts with praise; give thanks to him and praise
his name.
For the LORD is good and his love endures forever; his faithfulness continues through all
generations.” – Psalm 100:4-5
In this verse, you can imagine the scene where all sorts of people are gathered at the place of worship, and that worship is one that is filled with joy. Because the Lord is with them in the place of worship and gives them words of life. We, along with everyone else, are invited to a worship to God that is filled with joy.
It is said here that the Lord is good. The word “good” was translated from the Hebrew word (טוֹב,tov), which is read “tov”, which means good. When we talk about good people, there are some images that comes to mind. However, the Lord is better than anything you have ever imagined. When we meet the Lord, we will understand how good He was to us.
Through various experiences, the people of Israel have professed what the Lord God is like. Freed from slavery, provided with abundant land, not being abandoned despite turning their heart away from God, disciplined severely at times, encouraged when in times of fear, presented with light of hope when in the face of despair. In the course of hundreds, thousands of years, the Israelites learned that the Lord was good.
We will probably know how good the Lord has been to us when we meet Him. And it is by knowing that that we do not stop worshiping the Lord, giving Him praise and songs of joy.
Moving forward with Joy
The world is now at a major turning point and I feel that the pace of this change is accelerating due to the impact of this corona. But the fact that the Lord is God, that He is our shepherd, and that He is good remains unchanged.
We, on the other hand, have changed. In order to prevent the spread of the virus, we gave up worshipping at churches and started online worshipping with the help of internet. It doesn’t mean that we will not go to church anymore. However, it seems unlikely that we will return to how we were before the infection after the infection is over. In the midst of various happenings, the way we offer our worship and how we enter the church may change, and some changes might be inevitable.
Sudden changes can lead to anxiety and confusion. However, change leads to new possibilities that are not necessarily negative as well. The important point is what we want to retain, and what we want to change. What kind of worship do we want to offer and what type of church would we want to be? It is important that we listen to the call of the Lord and respond to that invitation by making a choice.
In this year, let us move forward with the theme of “serving the Lord with joyfulness”. Let us ponder and search for how we want our church to be while keeping in mind that the Lord God is inviting everyone to participate in this worship that is filled with joy and that He is calling everyone to know that the Lord is God.
Pastor Nozomu Sugiyama
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